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ネコ日和

日々の日記とか、ホームページの更新とか、創作物(書き物やイラストなど)のコメントとかを書き綴っていきます。 最近はパソコン関連の事もメモ代わりに書いております。こういう情報にメッチャ助けられてるので、今度は自分の番かと思っております。 以前はイラストもチマチマ上げておりましたが放置気味、ちまちまとモデリングなるものをやってまっ・・・(放置気味)。 フリーソフトでどこまでできるかチャレンジしてます(ソフトの作成者様やプラグインの作成者様には感謝です)。

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アナログでやれよ。

(タイトル)って言われました。
ここ数日、パソコンの画面と睨めっこしながらデジタルで漫画の練習をしてたら、言われました。

**

ノートパソコンで、前々からブログでは言ってるクラパカさんを使っているんですが(win7で初期のまま使用してますが、それでも軽々動いてくれるから偉いなー)
どうしても目がチカチカします。
しかし、このノートパソコンの画面は購入時にこだわったもの。

今のテカテカした画面(黒が綺麗に見えます)がどうにも長時間見続けるには辛いので、旧式(?)のマットな感じの画面とで悩んだんです。

動画とか映像を見るならテカテカした方が綺麗なんですが疲れやすい。
マットな画面なら目は疲れにくいが画の細部で困る。

購入当初は文字がメインになると思ったのでマットな画面で良かったんですが、諦めきれず店内を散策していると、中間っぽい画面のノートパソコンを発見してしまったのです!
これが今のノートパソコンとの出会いです(懐かしいなー)。

通常のテカテカした画面よりは幾分か疲れにくいんですが、流石に連続で四時間以上見続けると疲れてしまうんですよ~(そこまでやると関係ない気もする)。
因みに眼鏡族なんですが、ブルーカットは入ってます。

そんな時、「一体何をそんなにやってるんだ?」という家族の目。
「パソコンでトーン貼ってんのー。トーン使い放題だよ~~」
目がチカチカするけど。
「アナログでやれよ。アナログで」
ごもっとも。

**

もともと、漫画やイラストはアナログ派で、今も下書きからデジタル(パソコン)でやることはあーんまりないですね。
(練習を兼ねて最近はやってたりしますが。)

で、その時の原稿も
下書き~ペン入れ~トーンの書き込み~ベタ
まではコピー用紙と原稿用紙でやってました。

最後のトーンと文字の写植をパソコンでやってたわけです。
(しかも下書きはA4なのに原稿用紙をB4でやって大変だったり、
スキャナーがA4までしか対応してなくて結局原稿用紙をA4に切りました)
トーンはどうしてもお金がかかるし、足の裏に付くし(私だけ?)、かさばるし等々の理由でトーンだけデジタル加工される方もいるはず!!
そういうもんだって!! そう信じたい。

あと、最終的にデジタルになるならデジタル加工の方が完成図を見やすいというのもあります。
やったことがあるんですが、アナログの原稿をパソコンに取り込むと模割れを起こします。
目の細かいトーンの話になるんですが、重ね貼りなどの高等技術を反映するだけのスキャナーが家庭用にあるかって話なんですよ。
普通にコピーするときだって、質が悪いと泣きそうになるのに。

最近は画素の問題は改善されていると思うのですが、やっぱり印刷にはアナログが一番だと思います。
最終的にどういった形にするかで原稿形態は変えたいですな。
(デジタル加工の漫画は紙になると何故かドットがやたらと見えたり、滲んでたり)

という言い訳です。
基本的にアナログが楽で速いです。
(ペン入れで久々に引っ張り出したトレース台はチカチカするから疲れたけど)

***

久々に描いたんですが、当然ながら昔のインクは使えません。
新規に購入しても使い切るか分かりません(ちゃんと使い切ったことないなー、零したりするから)。
というわけでインクカートリッジタイプのペン先(万年筆みたいなの?)と、筆ペン(「安いですよ」という店員さんの言葉で買ってしまいました)で描いてました。

確かに付けペンタイプに比べるとインクを途中で付ける手間が無いので楽です。
しかし、筆圧でGペン潰したりするタイプなので(使い過ぎですり減るタイプではない)ちょっと物足りない感じになってしまいます。
筆ペンは……困ったことに細い線があんまり描けない。綺麗な艶ベタをしようと思うとかなり大変です(元々が細い筆で塗ってたから余計にそう感じるのかも?)。
高いのだと大丈夫なのかも? 単純にベタするだけなら問題ないです。
十六ページ描いたんですが、インクはどちらも残ってます(そんなに描きこみしないタイプだからね! 原稿が白いよーーー)。

結論として、私個人のレベル程度なら十分。
(ただし手首は疲れる)

***

アナログ作業が終わった後、デジタルに移行するにあたってスキャナーで取り込む必要があります。
予定外に四時間も原稿を切るのにかかりました(全部手作業)。
つ、疲れたー。しかも取り込むのメンドクサイー。(クラパカさんから直接取り込めないので、一旦アズペ2で取り込んで.bmpで出力して、それをクラパカさんで読み込む)
なんだかんだで、アナログなら気にしないのになーって気分になってしまいました。

さて本題の作業ですが、
何度でもやり直しができる!
レイヤーで分けられる!
パースが取りやすい!
トーンが使い放題!
作業場所がパソコン一台分!
という快適さに感動したのは最初の一時間。
確かに選択範囲が指定できるのはありがたい。
しかし、自動選択だけで全部は乗り切れない! そう、集中効果線とかのあたり。
(アナログなら物差しで十分)

マウスでカチカチ範囲選択を繰り返し、自動選択に頼り、予定の時間をオーバーしました。
(トーンを貼るのが苦手&金銭的に余裕がないので、ペンで描きこむのですが今回は無しに)
「トーン使い放題~」と、予定当初とは違う意味で笑ってました。なんでこんなに貼ってるんだろう自分は。
(アナログ作業の時間で考えてたのが悪かった)

おかげでタイトルの言葉を聞く羽目になった。
予定では一日もあればできるだろう(=最大でも六時間)、
実際は三日(=十八時間くらい)かかりました。

慣れの問題もあるでしょうが、時間かけすぎだよ。
(下書きも何故か四か月くらいかかってる。土日しか作業できない上に体調を良く崩してたから)
実はプロット(下書き前の構図)を切ったのが去年の十二月とかいう可笑しなものなので、これぐらい誤差の内さ! って言いたいんですが、「これ以上延びると描かなくなる! ヤバい!!」って意気込んでたのも事実です。

こんなに長くかかるとは思っておらず、道具のテスト&リハビリだけのつもりだったんですが、力はかなり入ってました。
お蔭でかなり楽しかったwwww 一人〆切状態でwwww

***

独りツッコミ。
こんなことやってるから本館の連載止まってるんだよ。

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クラパカさんでトーンをカラーで使いたい!

もう検索避けを入れると面倒だと自覚してしまったので、そのまま。
(というより、私も技術的なものを探すときに助けられているので、私もなんか出さなきゃって気になったので)

ちょっと前にも書いたクラパカさん。
この方は無料なのにトーンが付いてます。素晴らしい。
ノーマルなドットのトーンから柄トーンまで使えてしまいます。
(ただし、標準搭載のトーン以外を使おうと思ったら登録が必要になります。)

そんなのAzPainter2(以下アズペ2)でもできるじゃん!
その通り。
でも、残念なことにアズペ2はトーンに関して倍率の変更ができません。
「このトーンもっと大きくできないかな?」
「もうちょっと小さくしたいんだけどー」
が少々難しいんです。

つまり、簡単に言うとアナログで書いてデジタルトーンを入れようと思ったら難しいってことです。
あと、デジタルでも大きなキャンバスには向いていません。
なので漫画の1Pを描こうと思ったら結構大変ってことです。

ではクラパカさんはどうかと言うと、流石は漫画作成を謳っているだけあって
「トーンは種類増やしたよー! これからも増やすよー(登録が必要だよー)」
「みんなで作成できちゃうよ~」
「フリーだよ!! ずっとフリーだよーー!!(ここ重要)」
「機能も増えちゃうし、Macでも端末でも使えちゃうよーー」
なんて言ってます。
スゲーよクラパカさん!!
(まぁクラウド技術だからどっかで情報が洩れてる可能性は否定しない。
それを言い出すとネット環境にある端末は全部そうなんだが、あえて言わない)

問題点を挙げると、印刷用ではなくデジタル用だということ。
目の細かいトーンは印刷する汚れのように見えてしまうのはデジタルからの悲しい性。
あと、画面だと分かりにくいミスが意外と出てしまう(有償のソフトでも仕方がないのだろうか?)。

それに、クラパカさんはもう一つあります。
トーン機能をそのまま使うとトーンは黒(墨)でしか書かれていないということ。
つまり、アズペ2みたいに指定してた色でトーンは張り付いてくれない。

モノクロの漫画原稿なら「問題ナーシ!!」でいいんですが、
クラパカさんはそのままカラーもいけます。
じゃあカラーのトーンも使いたいよね。これが人間の心理だと思います。まぁ欲張りといえば欲張り。


***


前書きがかなーり長くなりましたが、他にもあるんじゃないかとは思いつつ
クラパカさんでカラーのトーンを使ってみよう。

まずは貼りたいレイヤーと別にレイヤーを作成します。
とりあえず作成したレイヤーにモノクロで貼り付けます。この時に貼りたいように倍率、位置、角度は決めといてください。
色以外は予定通りに。

で、そのレイヤーから
選択範囲>レイヤーを元に作成/輝度(または不透明度)
で選択範囲を作ってしまいます。

その選択範囲に色を付けます。これは貼りたいレイヤーに。
そうすれば意図した色で意図した部分にトーンが貼れてしまいます。


これ、何をやってるかっていうと、単純にトーンから選択範囲を作ってるだけなんです。
選択さえできてしまえば後は塗りつぶしも、グラデーションもやりたい放題。

問題があるとすれば、画質を下げるとあっという間にトーンは潰れてしまうし、ハッキリ塗ってやらないと分かりにくいっていう点ですかね。
でも、無料でここまでできれば十分なんですけどね~。
(アナログ原稿で全部やればいいんじゃない? なんて言わないで。アナログはやっぱり印刷向き)

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リベンジしてやりましたぜ

昨日(というか今朝?)、予定にないイラストの使い方をしました。
モノクロのトーン用に描いたはずなのに、何故か着色されていました。

どうやら、深夜のテンションで二時間かけて書いたのに保存の直前で消えてしまった作品というのは思い入れがあるらしいです。

練習用に描いたのが何故か着物の植物系だったり、なぜか気に入ったり、つまり書きたかったんですね!
うん、それでいいよ。もう!!

結局、下書き(アナログ)、モノクロ(デジタルトーン)、カラー(デジタル)まで出しちゃったんで原点もなんとかしようって気になったんですよ。
キョンシーが面白かったから!!(※昨日のブログ)

深夜のテンションなら二時間で済んだのに、昼間に書くと三時間ぐらいかかった。
とか、短くなってる(冷静になって不要な部分を削ったらしい)。
それでも内容的には変わってないのでいいかなー、諦めたっていいはずだ!!
ともあれ、できました。
意外と長いです。

短編ってどれくらいなの?
よく考えてみると、短編と称して76ページ(A4用紙に換算で、ワードの行数のみ指定で22行)書いてるものもあります。読み切りでしたが。
じゃあ、十分短編だね!!(をい)

読み切りできるものは全部短編とか言い出しそうな理由だな。
でも、本人が短編だって言えば短編だって誰かが言ってた! 気がする!!

***

(パソコンが妙な音(なんか激しくファンが回ってる音)を出し始めたんですが、MMDを起動してる時以来だな。
どうした?)

それにしても、読み返すと勇者ネタ好きだなーと思いますね。
我ながら活躍しない、主導権の取れない勇者が好物のようです。
(勇者様と魔王様とか、HPに出してないのも含めるとかなりあると思う)
そして勇者(系)と魔王(系)の駆け落ちネタも好きらしいですね。
どうしてそうなる? そうか、奴か。アルゴンが原因か!! 童謡にある森のクマさんが原因らしいです。本当は冒頭の5ページで退場予定が最後まで居座ったり、本当は10ページ以内の漫画にしようと思ってたのにってのがあるんです。
それが勇者様と魔王様のアルゴン。(魔王様と勇者様だったかな?)

アルゴンは怠け者という意味で使いました。あと、音がアルゴル船に似てた。

何だろう、横道路線のキャラが好きなのは知ってたけど、ここまで露骨に横道にそれていくことはないだろう。
うん、へそ曲がりなのは知ってる。

(あんまりにもパソコンの音が酷いので、アクティビティモニタを起動してみたが、どうやらソフトが問題になっているわけではない。
で、触ってみたら暑かった。連続十時間ぐらい使ってるからね。ちょっと通気できるように本とか下に入れて放熱させてみます)

王道ファンタジー物は書けないの知ってるから書かないし、好きじゃないからネタにもならない。
好きなように書いてるから好きな方向に流れていくんだろうな~~。
それが楽しいんだけどね。

***

本館に未完成のまま放置してある連載を先に書け、だとか。
今は漫画の準備してるんじゃないの、今日は枠線まで入れたのに、だとか。
今年こそは投稿用に小説書くんじゃないの、だとか。
カメちゃんのぼっとがまだ新しくなってない! だとか。
本館にイラストばっかり投入してるくせに更新が遅くて拍手絵もしばらく交換してない、だとか。
問題は山積してますが、自分の好きなように時間を見つけてやっていこうと思います。

とりあえず、今回のブログはあんまり見られないといいなぁーとか思ってます。
じゃあ公開するな、ですよね。

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ベラドンナ

深夜に消えてしまった短編を今一度、書いてみようと思います。

折角イラストもできたんだし、ってことで。

***

親愛なる地上の皆様へ。
あなた達の勇者は、人間として死にました。
だから手向けましょう。

赤い花弁が空から降ると、白い鳥が羽ばたいた。
大きな恐怖から解放された人々は、そんな恐怖があったことを忘れていた。

**

黄金色に光る空は次第に赤く染まっていく。
土にまみれ、蝶を追いかけていた子供が足を止めて耳を澄ませる。
母の呼ぶ声がした。
大きく手を振ると、母の影が手を振りかえした。
夕日を背に、転がるようにして母に抱きついた。

重たくなった我が子を抱きしめ、その温かさに安堵する。
今年で十になる重さ、もう自分の力では昔のように抱き上げてはやれない。
夫の方なら、軽々と自分ごと抱き上げてしまえるだろう。
走れなくとも、その腕に確かな力があった。
古い話ではない。しかし、子供が出来て大きくなるには十分な時間だった。

子供が母から顔を離し、指差した。
沈む日が照らすその女に息を飲んだ。
髪に大きな花を挿して、そこに立っていた。
ただそこにいるだけなのに、吸い寄せられるような顔をしている。
悲しいのか、悔しいのか、怒っているのか、それとも何も考えられないのか冷えた表情をしていた。結んだ口元からは何の感情もうかがえない。ただ、目だけが泉のような静けさと不安を母親に伝えていた。

子供が小さく手を振った。
それに女は手を振った。
その時になって、やっと時間が動き出したかのような気がした。
女が破顔した途端に言い知れぬ不安が消えた。

「彼が愛していたもの」
泣きそうな顔で笑っていた。

***

「俺はラッキーだ」
彼は笑った。
彼は笑ったのに、私は泣いてしまった。
太くてゴツゴツになってしまった指で私の涙をすくった。
「俺は世界一ラッキーだ、こんなに綺麗なベラドンナが傍にいるんだから」
彼の頬に涙が落ちた。

彼が私を大地から連れ出した日、怒ってるわけでも嬉しい訳でもないくせに、溜息を吐いた。
私の根を土ごと袋に詰めて、私を揺らして歩く。
あんまり揺れるから、私は必死にしがみついていた。
頬を膨らせて見上げても顔はあんまり見えなかった、代わりに空と雲がよく見えた。
もっと見たくなって、一生懸命引っ張ったら、彼は私を肩に乗せた。
彼の肩はあんまり揺れないし、空も、彼の顔も良く見えた。
今では見えない光景が、あの時はいつも目の前にあった。

私は歌が歌いたかった。
彼は私が私の歌を歌うと耳を塞ぐけれど、鳥や風の歌を歌うと喜んでくれた。
「お前の声は綺麗だ。歌も他のどんな歌姫だって泣いてしまう。でも、ベラドンナがベラドンナの歌を歌うと俺は耳を塞がなきゃいけない」
自分の歌なのに、自分で歌えない。
私は不満だったけど、彼が私の歌声で喜んでくれるなら我慢してもいいと思った。
だから私はずっと私の歌を歌わなかった。

彼の肩に乗って同じ時間を過ごした。
時には彼が舞うから、私は落ちてしまう。踏みつけられそうになったときもあった。
それでも彼は最後に私を拾い上げると肩へ乗せた。
「ベラドンナ、大きくなってきたな」
抱き上げるときに両手を使うようになってから、彼は溜息交じりに言うのだ。
私は彼が勇者という仕事をする度に大きくなっていった。
彼が剣を振るえば、その血は私の血肉になる。
私の成長は彼が仕事をしたからなのに、私はすねてしまう。

横に居たいと思ったから、私は彼の真似をして歩いた。
転びそうな私の隣を、彼は早足で歩く。
私が遅いと、彼は私を抱きかかえた。

「ベラドンナ、お前なら連れて行けるかな」
彼が私を大地から連れ出した日、その日と同じ言葉を聞いた。
私はもう肩によじ登らなくても彼の顔がよく見えた。
一人が不安になると、彼はよく目を伏せた。
どこへ行っても、彼は一人。
彼と同じ人間が沢山いる町でも、勇者は一人きりだった。
人間は彼に仕事を沢山言う。両手を広げて呼ぶけれど、仕事が済んだら、もっと仕事をお願いする。
難しい、彼ができない仕事を言う。
彼は断らない。
だから、彼は冷たい扉の前に立っている。

月と太陽が消える日に開く扉をこじ開けたからなのか、私が懐かしいと感じる風なのか、この風景が彼に溶け込んでしまったからなのか。
扉を抜けた彼の姿は次第に変わっていった。
体は傷が分からないほどゴツゴツになっていった、髪も固くなり折れた、皮膚はひび割れて額に固い角を模した。
「はは、角か。さっきの奴みたいだ」
変わらない瞳で私を振り返る。
声も低く、しわがれていた。

彼は歩く、私は暗くて見えない空の歌や鳥の歌を口ずさむ。
「お前が一緒なら寂しくないな」
彼は肩を揺らして笑った。

彼は、彼のような姿の者を切り捨てていった。
人間は自分たちと姿形の違う、自分たちを襲う者たちを怖がった。
彼はそれを一身に受け止めた。
「死んだらコッチに来るんだから、こっちで死んだらワザワザ来なくていいから楽かもな」
食べる物は味のしない神からの贈り物。私も食べてみたけど、美味しくない。
彼が大好きな食べ物は早くに腐っていた。
私が私の歌を歌ってもないのに。

扉の向こうで私は一段と成長していた。
彼がそこの住人が見えなくなるまで仕事をしたから。
暫く歩いても誰にも会わなくなった時、彼は踵を返した。

「はは、確かに化け物だ」
月と太陽が消える日に開く扉、月も太陽も見えないこちらからは何時なのか分かりもしなかった。
再びこじ開けた扉の向こうは、清々しいほど変わっていなかった。
変わっていたのは彼と私の姿だった。

両手を広げて彼を呼んだ人間たちは、彼の姿を見るなり刃を向けた。
彼が昔教えた剣術で彼を傷つけた。
私が泣いて叫んでも、誰も分かってはくれない。
どこへ行っても、大きくなった子供は分かってはくれない。
大きかった大人は忘れてしまった。

顔を洗った彼は、泣きながら笑っていた。
体以上に胸が痛いのだと、彼は言う。
人間に会う度に傷を増やす彼を連れて、体の汚れを落とそうと綺麗な水を探した。
流れる水はあんまりにも綺麗で、私は怖かった。
でも、必死に彼を支える。なのに、彼は動けなくなった。
動けなくなった彼を膝に抱え、私は泣いてしまった。

**

「ベラドンナ、人間を恨むなよ。恨みは悲しい」
彼は笑って目を閉じた。
「俺はラッキーだ。最後までお前が居る」
どんなに揺らしたって、もう開くことは無い。
私は重たい彼を引きずって綺麗な水へ浸した。
彼の汚れが流れてゆく、下流の魚は浮かんで流され水を濁した。

綺麗な水は、彼を元に戻してくれた。
彼を水から引き揚げて、彼が大好きだった木の友人へと運んだ。
木の友人は無口だったけれど、静かに彼を根に受け入れてくれた。

私は、彼が寂しくしてしまった扉の向こう側で、独りで寂しくないように心を決めていた。
人間がそうするように、私は彼に手向けよう。
彼が愛した全てを。
彼が一身に背負った愛を、彼の為に手向けよう。

**

今度は私だけ、誰も連れて行ってはくれないから自分の足で来た。
扉をこじ開ける力は私に無い。
だから、月と太陽が消える日を待った。
それまで彼が愛した全てを探して回った。
一人では大変だから、根を伸ばして花を裂かせて、探して回った。

彼に手向けるモノを探して回った。

どんな時間の名人も私を追い返さなかったし、彼を連れ戻してもくれない。
どんな踊り子も私を賛美したし、彼に踊り続けてくれない。
どんな王様も私を拒絶したし、彼を思い出してくれない。
どんな人間も私を人間だと思ったし、彼を化け物だと罵った。

それでも彼は愛していた。
だから私は恨まない。
だから私は彼が愛したモノを全て手向ける。
だから彼が苦手だといった、鉄の場所だけは手向けない。

**

勇者と呼ばれた男が消えて十年が経った。
何処かで隠れているんだと、隠者が呟いた。
扉の向こうで息絶えたのだと、詩人は語った。
そんな者はいなかったと、僧侶は宣言した。

いつまで続くかしれない平穏が日常になっていた日、赤い花弁が空から舞い降りた。
それに白い鳥が続く。
鳥は歌った、勇者が死んだのだと。

何も知らぬ子供たちは花弁を捕まえては喜んだ。
鳥の歌を吉兆と捉えた王妃は揺り籠を準備させた。
次の勇者は我が子だと新しい部屋には盾を飾った。
それが延々と続くまでは。

空は花弁で見えなくなり、海は赤く染まった。
大地は根で覆われ、大気には甘く匂った。

人間の使う刃も、火も、扉の向こう側を十年間耐え抜いた花には敵わなかった。
日々追い詰められていく人間たちは必死に考えた。
どうやればこの植物を枯らせるのか、どうやれば自分たちの土地を取り戻せるのか。
そうして、ただ一つ根の入らぬ土地を見つけた。
機械と工学が発達した、全てが効率化した国。
人の心も金属のように冷たい、そう呼ばれていた国だけは花も届かないようだった。
居場所を求めた人々を最初は法外な金銭で受け入れてきたが、その数があまりにも多くなり、門を閉ざした。
花も届かぬほど強固だと自ら謳った扉は、人間たちをも退けた。
同時に、それは外界との接触を一切断ち切った。

息もできぬほど、花が舞踊る世界で真昼の太陽が次第に光を欠いていった。

**

確かに、ただでさえ荒れた世界を物静かにしたのは俺だが、これはあんまりにも寂しいんじゃないか?
自問自答してはみたものの、溜息しか出ない。
こんな時、ベラドンナならなんて言うだろう。
「じゃあ、島の歌を歌ってあげる」
なんて、自分で好き勝手に歌ってくれるだろう。自分の気が済むまでずっと。
正直なところ、耳元で歌われるから五月蠅い時の方が多かった。
今はその五月蠅いっていうのが懐かしい。

独りだと思ってはいたが、ベラドンナを引っこ抜いてから一人で歩かなくて良かった分が重たかった。
因果な商売、誰も憧れるけど誰もやりたがらない。それが勇者と言うものだと、前任者の姉は言っていた。
結局、姉は倒すべき相手と逃避行した。今頃は別の大陸だか次元だかで元気にしているだろうか。誰もやりたがらないし、誰かが拾わなきゃいけない。
仕方なく拾ってはみたものの、終りが見えない。
勇者ってやつがなんで明るい色を着るのかよくわかった。暗い色をしたら気づいた時に真っ黒に染まっちまうからだ。

「こっから先にはなーにも無いのを知ってるのに、俺は歩かなきゃいけないのか?」

なるほど、地獄か。
つまらない事を考えながら、立ちあがった。
同時に、自分の体が軽いのを感じる。今更ながら手の平を見てみると、自分の手の平だった。
「おぉっ! 戻ってるじゃないか、見てみろ」
続きが出そうになった途端に寂しくなった。
そうだ、今は五月蠅い毒草(独奏)はいない。呼びかけても応えるはずがない。
ベラドンナは人間じゃない、ちゃんと養分があればどこででも生きていける。
俺の傍にずっと居れたぐらいだ、人間に倒されるようなことはないだろう。
きっとどこかで花を咲かせることができる。
「そうだ、見てみろ。地獄だって住んじまえば天国だろ」
空も見えない天に向かって手を伸ばしてみた。

目頭が熱くなり、自然と零れた涙が顎から滴り落ちた。
滴が大地を濡らした途端、落雷のような音が走り抜けた。
「まさか、門が開いただと」
それは豪雨のように、塞いだ耳にも降り注いだ。
まるで波のように人間や動物たちがどこからともなく駆けてくる。
木々が荒れた土地を突き破って顔を出し、枝を伸ばす。
さっきまで地平線が見えた世界が鮮やかに彩られ始めた。

「何があったんだ」
混乱する中、目に飛び込んできた人の波。
押されるようにして走ってくる集団から逃げてしまおうか、悩んでいる間に見つけてしまった。
遅れる先頭に、転がるように駆けるその見慣れた姿。
今にも転んでしまいそうな走り方、体を開いた。
遂に躓き、転びそうなその体を抱き上げた。

「俺はなんてラッキーなんだ」
肩に顔を埋めていたベラドンナが大きな目で俺を見る。
「っきぃな。きれぃな、綺麗な」
大粒の涙が服を濡らしていく。
「綺麗な私が隣に居るから、最高にラッキーでしょ!」
一際大きくしゃくりあげて、ベラドンナは強く抱きついた。
綺麗な顔をクシャクシャにして、ベラドンナは声を上げて泣いた。
大きく成長したのに、肩に乗ってた時みたいに泣いている。
「はは、本当に。最高にラッキーだ」

**

彼が愛した全てを、彼の為に手向けた。
彼が一番愛した私が、何もかもを連れて行く。
「はは、こりゃ凄いな。いっそ皆でここに住むか、そうすりゃココは天国だ」


海は赤く染まり、大地は飢え、空が沈んだこの大陸を人々は死の大地と呼んだ。

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クラパカさんでカラーに着色してみた

デジタルトーンの練習をしようと思って、クラパカさんを使ってみたんですが、どうにも着色してみたくって……
他の作業から逃げてやがるな、コイツって感じでパソコンに向かってました。

 
 
とりあえず、色置きを除くと四、五時間ほどで着色しています。
使用ツールはクラパカさん。
水彩と消しゴムで基本的にはゴシゴシ塗りこんで、時々エアーブラシを使っております。

影は選択範囲の自由変形で、人物からヒョッコリ変形させました。

***

目の塗り方に大分困りました。
なんせ、まともに着色するのが久しぶり過ぎるwwww
前回は目を閉じてる人魚だったので、目は塗っとりません。

あと、縮小してjpgに保存したら色が飛んでますwwww忘れてたよ!!
(jpg保存するとファイルサイズが小さくなる代わりに質が落ちます)

モノクロまでUPした後に調べたんですが(をい)、
ベラドンナは目薬にも使ったらしいですね(オメメパッチリを目指して)。
まぁ毒草らしいんですが(ハシリドコロの仲間っていうところで、完璧に毒草扱いですね)、神秘的な感じがします。
色合いは参考にしましたが、難しかったので途中で挫折。

というか、花が全く違うので、
「ま! いっかぁー」
で諦めは早かったです。

因みに、色々と設定もできてきたんで真面目にSSをいつか書きたい。
イラストの段階ではホボ手の平サイズなんですが、ぐんぐん成長して人間と変わらないサイズになる設定です。
根っこ→足もどき(歩行は不可能)→足(?歩くというよりは転ぶ)→脚(自力での歩行が可能)な成長。

***

きょんしー!!
いや、今日の動力源はキョンシーでした。
久しぶりに霊幻道士を観ました。面白かったーー。
アクションとギャグと少しばかりの恋愛もの、ホラー風味ですが笑いながら見れます。
無印だからって頑張ってる、でもコナレテない感が楽しい。

DVDの購入を本格的に考えております。
道士服も描いてみたいが、死霊が! 資料がぁああ!!
なによりも愛が!!
カメぼっとに着せたい、でも着せると甲羅の緑が隠れるから道士服の黄色と顔色の黄色が被って何が何やら!!
ただただ黄色い生物になってしまう。

最近は窓辺にカメが座ってないかなーとか、変な期待に取りつかれているのに、これ以上変なことになると脳内のカメレナリン(カメメが命名した私の脳内に住み着いたカメ?)に怒られそうです。
いや、むしろ生き生きと着こなして、桃の木の剣を振り回してお札を撒いてくれるんでしょうか?

私は黄色い生物を作ってしまうんだろうか?wwww

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